今回のレビューは、既に生産が終了してしまっていますが、フェルナンデスの布袋モデルについて書いてみたいと思います。
- フェルナンデスの布袋モデルがどんなギターなのか知りたい
- 布袋モデルの弾き心地を知りたい
- 布袋さんのイメージ抜きに、純粋に布袋モデルのサウンドを知りたい
- 本人仕様に近づけるにはどうすればいいか教えてほしい
もくじ
ギタリスト・布袋寅泰への憧れ
布袋さんが酔っ払いながら描いたといわれる幾何学模様が彩る、テレキャスターシェイプのギター。
この形を見ただけでテンションが上がるギタリストの方、たくさんいるのではないでしょうか。かくいう私もその一人。私自身、ギターは布袋さんで覚えたクチなのです。
「LAST GIGS」のコピーを何度も何度も繰り返し、譜面上は追えるようになりつつも、「あの布袋さんのグルーヴ感、どうやったら出せるんだ？」という疑問を持ち続けたまま、今、こうやって大人になってしまいました。
とりわけ、LAST GIGSにおける「わがままジュリエット」のコピー練習は未だに続けています。深みのあるギターソロ、独特のバッキング、Bメロのカッティング…。譜面で見るとそれほど難しそうではないのですが、あのノリを出すのはなかなか難しいと、つくづく感じます。
市販の布袋モデル、そのスペックは
さてさて、そんな布袋さんフリークからすれば外せないアイテムが、この布袋モデル。
現在の布袋モデルは、フェルナンデスから独立したギターテック・松崎淳さんが率いる楽器工房・ZODIACWORKSが扱っていますが、初期のころはフェルナンデスからこの布袋モデルがリリースされており、今でも多くの方が「布袋モデル＝フェルナンデス」というイメージをお持ちのことかと思います。
さて、そんなフェルナンデスの布袋モデル。10万円前後で買える量販グレードだと、かつては「TE-95HT」、後期は「TE-115HT」という型番が振られていました。なお、この「95」「115」はそれぞれ定価を表していたものと推測されます。
基本スペックは、バスウッドボディにメイプルネックのローズウッド指板、22フレット仕様。ただ、ホントに初期型の布袋モデルについては、ボディがアルダーだったものもあります。もしこれをお持ちの方、ホントにレアですので、ぜひ大事にしてくださいね。
ピックアップは、F.G.I TECHNOLOGYというフェルナンデス製のアクティブピックアップが2基載っております。
布袋モデルという点を抜きにして、一般的なギターの目で見てみると、アクティブでノイズレス、エフェクターのノリも良く、非常に扱いやすいギターです。
また、ネックは割と薄めで、フレットは22まであり、指板がフラットということもあるので、弾き心地はかなりモダンな感じ。
一方で、最近のモダンなテレキャスタイプのギターにありがちな、コンター加工などは施されておらず、身体へのフィット感は、良くも悪くも伝統的なテレキャスのそれに近いです。
また、抱えてみると、非常に軽く、とにかくライブでの扱いやすさという点において、普通に優秀なギターであることがよく分かります。
特に、ヴィンテージライクなギターから持ち替えた時には、「わ、弾きやすい！」と感じる方も多いのではないでしょうか。
サウンドは…むしろモダン系ストラトに近い？
さて、そんな布袋モデル。サウンドは、どのような感じなのでしょうか。
多くの人が、このギターを見ると、あの布袋さんのギターサウンドを連想するかと思うのですが、今回、あえてその先入観から離れ、1つのギターとして評価してみることにします。
非常に洗練されたサウンドが印象的です。アクティブタイプのピックアップが載っていることが強く影響しているのでしょう。
そして、そのサウンドの傾向は、ボディシェイプこそテレキャスターなのですが、載っているピックアップもストラト用であり、そしてテレキャスターのようにピックアップが金属プレートに載っているわけではないため、サウンドの傾向はどちらかというとモダン系のストラトに近い印象です。
一方で、一般的なストラトとは異なり、ピックアップはフロントとリアのみで、センターはありません。ですので、ピックアップセレクターを真ん中にセットすると、フロントとリアをミックスしたサウンドが出せるわけなのですが、リアの鋭いサウンドと、フロントの甘いサウンドが良い具体に混じり合い、適度な太みと切れ味鋭い音が両立された、とても素敵な音を作り出すことができます。
布袋モデルの定番アレンジ・ピックアップのEMG-SA換装
さて、このギター、定番のアレンジがあります。それは、「ピックアップをEMG-SAに交換」です。
このギターは、価格を抑えるために、フェルナンデスが自ら開発したアクティブピックアップ「F.G.I TECHNOLOGY」が載っているわけですが、本人が使っている布袋モデルは、EMG-SAが搭載されています。
こちらに換装することで、比較的ローコストに布袋本人仕様に近いモデルを作り出すことが出来るというわけなのです。
聞き比べてみると、どちらかというとF.G.Iの方がハイが強く、EMG-SAの方は優等生的に扱いやすいサウンドになっている印象ですね。
【まとめ】今でも通用するモダン系サウンド！布袋サウンドを狙うならコレ！
このように、今回、フェルナンデスの布袋モデル（TE-95HT、TE-115HT）について、そのスペックの概要を見るとともに、サウンドの傾向、そして本人モデルに近づけるためのEMG SA搭載アレンジなどについてご紹介させていただきました。
このギター、とにかく布袋さんのイメージが強すぎて、BOOWYやCOMPLEX、あるいは布袋さんソロのときにしか使えないようなイメージもありますが、ギターとしては非常に使いやすいです。
モダン系ストラトを思わせる、ローノイズなシングルコイルサウンドは、現在のモダン系音楽シーンに持ち込んでも全く古さを感じさせないクオリティだと思います。
このようなギターですので、許されるなら、試しに一度、ライブに持ち出してみても、面白いかもしれません。オーディエンスの方が「えっ、そのギターで布袋さん以外をやるの！？」となるような、意外な反応が楽しめそうですね。
このギター、今や新品はなく、買うなら中古になりますが、もし状態の良い中古を見つけたら、ぜひぜひ早めに、お買い求めくださいね。
そういったときは、楽器店の下取りに持ち込んでも良いのですが、やはり重たい楽器ともなると、持って行くのも少し面倒だったりするもの。
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