ギター、ベースの「標準」を作り出した楽器メーカー、フェンダー。
そのフェンダーのラインナップは、まずは大きく「生産国」で区分されます。本家本元のUSA製フェンダー、そしてここ日本国内ではすっかりおなじみになった日本製フェンダー、そして手頃な価格と本格的なサウンドで多くのファンを抱えるメキシコ製フェンダー。
これらは、かつてはそれぞれ「フェンダーUSA」「フェンダージャパン」「フェンダーメキシコ」と呼ばれていました。フェンダーブランドの再編の中で、いつしか公式にはこういう言い方をしなくなりましたが、私たちは今でもこの呼び方がすっかり体に染みついています。
フェンダージャパンとUSAフェンダーの違いは?当たり年まで解説
本日は、そうしたフェンダーのラインナップの中から、メキシコ製フェンダー、いわゆる「フェンダーメキシコ」にフォーカスを当てて、サウンドや価格、またその品質などに迫って、その強みと弱みについて、見てみようと思います。
なお、以下、当記事では、愛着を込めて、メキシコ製フェンダーのことを「フェンダーメキシコ」と呼ぶことにします。
- フェンダーメキシコの特徴について知りたい
- フェンダーメキシコのラインナップの概要を教えてほしい
- フェンダーメキシコの評価を聞いてみたい
- フェンダーメキシコのメリットとデメリットを知りたい
もくじ
全体ラインナップにおけるフェンダーメキシコの位置づけ
まずは、フェンダーのラインナップにおける、フェンダーメキシコの位置づけを整理して確認しておきましょう。
フェンダーの生産国別ラインナップは、次の3つに区分されます。
- USA製フェンダー(フェンダーUSA)
- 日本製フェンダー(フェンダージャパン)
- メキシコ製フェンダー(フェンダーメキシコ)
フェンダーUSAが本家本元のフェンダーであることは疑いの余地がありませんが、それ以外の2つは、生産国をUSAの外に持って行くことで、フェンダーブランドを維持しつつ、コストダウンが図られたというような位置づけになっています。
「USA製以外はフェンダーとは認めない!」というような強硬な考え方の人もいるようですが、別に生産国がどこであれ、フェンダーがそこでギターを作れば、それは立派なフェンダーブランドになる…というような考え方もアリだと思いますし、私自身もどちらかというとそちらの立場でものを見ているつもりです。
さて、そんなフェンダーメキシコですが、工場はメキシコ・エンセナダ州にあります。このエンセナダ州というのは、アメリカ合衆国との国境に近接しており、文化的にも非常にアメリカに近いところです。
ですので…といって良いかどうかは分かりませんが、かなりこのあたりからも、USA製に近い雰囲気が感じられるのでは…と思ったりもしてしまいます。
フェンダーメキシコのラインナップ
さて、そんなフェンダーメキシコの、2022年1月現在におけるラインナップは、次のようになっています。
Playerシリーズ
メキシコ製とすることで、大幅に価格を抑えつつも、きちんとした「フェンダー」のブランドを冠した、もっとも低価格なラインナップが、このPlayerシリーズ。
この価格にして、そのサウンドは日本製フェンダーよりもむしろUSA製に近いとの評価もあり、初心者向けの最初の1本から、中~上級者向けのサブギター・ベースとしても、非常に高い人気があります。
当ブログでも、過去にいくつか、レビュー記事を書かせていただいております。
Player Plusシリーズ
前述のPlayerシリーズをさらに発展させ、よりモダンな要素を取り込んだ、Playerシリーズの上位に位置するラインナップが、Player Plusシリーズです。
ノイズレスピックアップを搭載するなど、現代的なサウンドを指向する設計と、SNSで「映える」ように彩られたカラーリングが、大きな特徴です。
こちらは、ストラトについてレビュー記事を書かせていただいています。
Vinteraシリーズ
このVinteraシリーズは、フェンダーメキシコにおいて、ヴィンテージ系ギターを再現する…というコンセプトのラインナップです。
テレキャスやストラト、プレベにジャズベなどといった、フェンダーの主要なギターやベースの各年代モデルが、このVinteraシリーズの中で再現されています。
カラーリングも、バーガンディミストやフィエスタレッドなど、ヴィンテージならではのものが用意されており、なかなか魅力的ですね。
Road Wornシリーズ
フェンダーメキシコのラインナップの中で、事実上最上位にあるといっていいのが、このRoad Wornシリーズ。
大きくヴィンテージ系の楽器を指向しているという点ではVinteraシリーズと重なるのですが、こちらはレリック加工が施されており、よりルックスに風格が漂っています。一方で、プレイアビリティ面ではジャンボフレットが採用されていたりすることがあるなど、単なる「ヴィンテージのリイシュー」にとどまらない魅力があります。
このラインナップからは、シグネチャーモデルがリリースされることもあります。有名なのはレッチリ・フリーモデルのジャズベースですね。
フェンダーメキシコの「2つの強み」と「2つの弱み」
このように、現在のフェンダーメキシコのラインナップをひととおり見ていきましたが、これらにおおむね共通するフェンダーメキシコの特徴、私は以下の4点かな、と見ています。
そしてその4点は、大きく「2つの強み」と「2つの弱み」に整理できるので、以下、示していこうと思います。
【強み1】日本製フェンダーに匹敵するお手頃価格
まずは、やはり日本製フェンダーに匹敵するお手頃価格、というところです。
USA製で一番お手頃なAmerican Performerシリーズでも15万円前後が相場の中、このフェンダーメキシコで一番お手頃なPlayerシリーズであれば、実売価格が6~7万円程度と、実にこの半額以下。
さらに言うと、日本製フェンダーで一番安価なMade in Japan Traditionalシリーズは10万円前後が相場となっているので、それよりもさらに上を行くお買い得さを誇るのです。
USA製フェンダーよりもお手頃な価格…ということで知られる日本製フェンダーと同等か、モデルによってはそれよりもさらに安く買えるフェンダーメキシコ。
もちろん、Road Wornシリーズなど、上位モデルの中はそれなりの価格になっているものもありますが、それとてUSA製に比べれば十分お求めやすい価格です。
USA製フェンダーの価格レンジが厳しい人にとって、日本製フェンダーに匹敵する価格で手にできるフェンダーブランドであるフェンダーメキシコは、非常に心強い楽器であると言えるでしょう。
【強み2】日本製よりも「フェンダーらしさ」が強いサウンド
そして、日本製フェンダーに匹敵する価格でありながら、ある意味において日本製フェンダーを上回る「強み」になると感じるのが、そのサウンドです。
日本製フェンダーは、USA製フェンダーと比較したとき、フェンダーらしさは十分に感じさせつつも、シビアに聞き比べると、どこかに「薄膜がかかったような」と表現される音抜けの悪さを感じてしまうところがあります。
ところが、そうした日本製フェンダーの妙なクセは、フェンダーメキシコには存在しません。USA製フェンダーと同等の、カラッとした抜けの良いサウンドを楽しむことはできます。
さすがに廉価グレードだとUSA製と完全に同等のサウンド…というふうにはいきませんが、Road Wornシリーズのような上位グレードであれば、USA製フェンダーに限りなく近いサウンドを手にすることができるでしょう。
価格帯としては日本製フェンダーと同等ですが、サウンド面ではUSA製フェンダーにかなり近いのが、フェンダーメキシコの大きな特徴であり、強みなのです。
【弱み1】低価格帯モデルでは品質に課題も
一方で、フェンダーメキシコがあらゆる面で日本製フェンダーを上回る楽器かというと、必ずしもそういうわけではなく、フェンダーメキシコの弱点も存在します。
その最たるものが、「品質の課題」。
フェンダーメキシコの楽器は、やはり品質管理面でUSA製フェンダーや日本製フェンダーと比べるとどうしても甘く、工業製品としての楽器の仕上がりを見ていくと、フレットの細部の処理が少し雑だったり、組み込みが甘かったりといった面が見えてきてしまいます。
この点、価格面で同等の立ち位置にいる日本製フェンダーは、さすが国産という作り込みの精度の高さが非常に魅力的で、それゆえにサウンド面を上手にアレンジさえすれば、大事に長く使っていけるという魅力があり、フェンダーメキシコはその点において少し見劣りするかな…という感じがします。
とはいえ、Player PlusシリーズやRoad Wornシリーズのような上位グレードは、そこまで作りの悪さを感じることもなかったりするので、この課題はフェンダーメキシコの中でも特に廉価なグレードに特有の話なのかもしれません。
【弱み2】ローズウッド系の指板はパーフェロー
これもフェンダーメキシコのウィークポイントと見る人がいそうですが、フェンダーメキシコは、基本的にローズウッド系の指板について、その木材がパーフェローになっています。
パーフェローは、それ自体に楽器の木材としての魅力があるという要素もあるのですが、一般には、ローズウッドの代替材として知られており、やはりどうしても「コストカット」のテイストを感じてしまうのも事実です。
この点、日本製フェンダーは低価格モデルであってもローズウッドを使ってくれていたりするのですが、一方で日本製フェンダーは本体の木材で一般にアルダーが使われるべきところをバスウッドにしていたりすることも多いので、一概にどちらをどう評価するかは難しいところです。
【まとめ】USA譲りのサウンドをお手頃価格で!超魅力的なブランドです
今回、メキシコ製フェンダー、いわゆる「フェンダーメキシコ」について、そのラインナップの概要をひととおり見ていくとともに、現行のフェンダーラインナップにおける位置づけを相対的に確認しながら、その強みや弱みについて評価していきました。
フェンダーメキシコは、本家本元のUSA製フェンダーがもつ「らしさ」を強く発揮しながらも、生産拠点をメキシコに置くことで、圧倒的なコストパフォーマンスをも同時に見せつけた楽器です。
また、同じ「買いやすいフェンダー」である日本製フェンダーと比較したときに、そこには一長一短があり、
- サウンドを重視するならフェンダーメキシコ
- 品質を重視するなら日本製フェンダー
といった具合の「棲み分け」ができるようになっています。
個人的には、USA製フェンダーのサウンドを、この価格でかなり強く感じさせてくれると言う点において、フェンダーメキシコには素晴らしい魅力を感じています。
フェンダーらしさを、お手頃価格で強く感じられる、フェンダーメキシコ。これからも、きっと多くのギタリスト・ベーシストをとりこにしていくことでしょう。
そういったときは、楽器店の下取りに持ち込んでも良いのですが、やはり重たい楽器ともなると、持って行くのも少し面倒だったりするもの。
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