令和2年、4月。新型コロナウイルス感染症対策に係る緊急事態宣言の発出は、私たちの生活スタイルを、大きく変えました。
そしてそれは、音楽活動の世界においても、従来型のライブ活動が難しくなるなど、多くの人を悩ませ、困らせています。
新型コロナの存在を受け入れながら暮らすために必要とされている「新しい生活様式」。賛否両論ありながらも、こうした「新しい生活様式」を意識した日々の中、音楽業界においても、従来型のライブ活動ではない、新しい活動を模索している人が増えています。
そうした状況の中で、今、注目されているのが、「インターネットによる音楽配信」。そして、機材関係では、この配信において必須となるオーディオインターフェイスに、今、熱い視線が注がれています。
本日は、そうした話題について、お話ししてみようと思います。
- 気軽に音楽配信にチャレンジしてみたい
- 配信系オーディオインターフェイスの概要を知りたい
- 音楽配信にどのような機材が必要なのか教えてほしい
- 主な配信系オーディオインターフェイスを一覧で見たい
もくじ
コロナ禍の中で広がった「自宅配信」
新型コロナの自粛期間中、音楽活動に取り組む人たちは、その活動の発表の場である「ライブ」の場所を、完全に失っていました。
とはいえ、自分たちの音楽活動までを自粛させたくはない…。
そうした思いに応えたのが、音楽配信の活動。実はコロナ以前から、ツイキャスやYouTube Live、インスタライブなどなど、さまざまな配信のフィールドはインターネット上に存在していましたが、これらが緊急事態宣言を機に、一気に注目を集めるようになりました。
また、オンラインミーティングなど、主にビジネスの世界で脚光を浴びた「zoom」も、音楽活動の中で使える要素があるのではないかと、多くのミュージシャンが関心を寄せたところであります。
音楽の配信については、ライブハウスがこれまでのノウハウを活かした「配信ライブサービス」を提供したりもしていましたが、多くのミュージシャンがより強い関心を寄せたのが、手持ちの機材で気軽にできる「自宅配信」でした。
配信で重要なのが「音質」
さて、このようにして注目を浴びた「自宅配信」。
自宅配信の最大の魅力は、その手軽さ。単純に配信するなら、スマートフォン1台さえあれば、これで動画撮影を行い、それをリアルタイムで配信システムに載せるだけで、自宅配信が完成します。
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この圧倒的な手軽さは、何物にも代えがたい魅力がありますが、一方で、ここで気になるのが「音質」です。
スマートフォンのカメラの性能向上は著しく、たとえば自宅配信であれば、自撮り用のインカメラを使っても、それなりにちゃんとした画質での動画が撮れるのですが、一方でスマートフォンのマイクはというと、「とりあえず電話の声が拾えればそれでいい」程度のクオリティにとどまっており、音楽として使えるクオリティには全く至っていません。
逆に言うと、その「音質」の部分さえクリアできれば、自宅にいながらにして、かなり本格的な音楽配信が行える、ということになります。
高まる配信系オーディオインターフェイスへの注目
こうした「配信の音質」を高める上で、音楽ジャンルを問わずに必要な、まさにマストアイテムとも言うべき存在が、オーディオインターフェイス。
オーディオインターフェイスというと、DTMの話を想起される方が非常に多いと思いますし、もちろん、フルバンドをガッツリ配信するような本格的な配信であれば、オーディオインターフェイスも相応のものが必要になります。
一方で、自宅で「弾いてみた」「歌ってみた」系のものを配信するのであれば、本格的なオーディオインターフェイスというよりも、どちらかというと小回りのきく、いわゆる「配信系オーディオインターフェイス」というものの使い勝手が良く、よく愛用されています。
主な配信系オーディオインターフェイス
さて、このような配信系オーディオインターフェイス、どのようなものがあるのでしょうか。一部、当ブログで過去にレビュー記事を書いたものもありますので、それらも含めて、概要を見ておこうと思います。
Roland Go:Mixer
まずは、スマートフォンでの配信に特化したオーディオインターフェイス、RolandのGo:Mixerシリーズです。
スマートフォンでの配信に特化し、必要最小限の入出力とコントロールに絞っていますが、そのシンプルさゆえに、使い勝手の良さは抜群。気軽にインカメラで「弾いてみた」動画を撮るときには、非常に心強い存在です。
なお、ファンタム電源搭載の上級グレード「Go:Mixer Pro-X」というものもあります。こちらであれば、コンデンサーマイクを使って、弾き語りやソロギターなどを高音質で配信することができますね。
Steinberg UR22C
続いて、CubaseなどのDTMソフトでおなじみSteinbergのオーディオインターフェイス、UR22Cです。
こちらは、配信系というよりは、どちらかというと「DTM向けオーディオインターフェイスの入門機」というような位置づけですが、一方でBGMを配信に載せることの出来る「ループバック機能」を搭載しているなど、配信系オーディオインターフェイスとしても使える点が魅力的です。
ヤマハ AG06・AG03
配信系オーディオインターフェイスといえば、これを真っ先に思い浮かべる人も多いのではないでしょうか、ヤマハのAG06・AG03です。
オーディオインターフェイスというよりは、どちらかというとミキサーといった雰囲気を漂わせているこのAG06・AG03ですが、そのミキサーとして使える点が、配信のときには「直感的に操作ができる」という点で大変魅力的に映ります。
ちなみに、AG06とAG03は、基本的な使用は同じですが、XLR端子の入力数などに違いがあります。複数のコンデンサーマイクを使いたいときは、AG06が必須になりますが、そうでなければAG03の方がコンパクトで使いやすかったりします。
Tascam MiNiSTUDIOシリーズ
こちらも配信系プレイヤーの方にはおなじみかもしれません、TascamのMiNiSTUDIOシリーズ。
マイク内蔵で気軽に配信ができる「Personal」仕様の「US-32」と、マイク入力が2本用意された「Creator」仕様の「US-42」の2モデルがあります。
オーディオインターフェイスとしての機能は前述のものと比べるとやや控えめですが、一方でこのモデルには、「ポン出し機能」や「ボイスエフェクト機能」があり、トーク系の配信では無類の強さを発揮します。
急に注目が集まったが故に…慢性的な品薄状態
これらの配信系オーディオインターフェイス、どれも非常に魅力的な商品で、見比べてみると、「全部欲しくなる」というほどなのですが、ここで一つ、悩ましい問題があります。
それが、「品薄問題」。
これら配信系オーディオインターフェイスは、コロナ禍以前から商品としては存在していましたが、音楽の配信活動というのは、市場的にはどちらかというとややニッチなところにあり、爆発的な大ヒットになるというような性質のものではありませんでした。
ところが、緊急事態宣言、そして「新しい生活様式」の中で、新しい音楽活動のあり方として「配信活動」に大きな注目が集まるようになり、多くのミュージシャンが、こうした配信系の機材に手を出すようになりました。
この結果、需要と供給のバランスが崩れ、一時的に市場からはこうした商品が消えてしまいました。本稿執筆時点では、一時ほどではないにせよ、今もなお、品薄状態が続いているような状況です。
メルカリなどのフリマ界隈では、いわゆる転売ヤーの皆さんが市場価格を上回る価格で販売しているような状況も散見されますが、中長期的には市場にきちんと商品が供給されるとのことですので、転売ヤーに惑わされることなく、冷静に振る舞いましょう。
【まとめ】新しい音楽活動としての「配信」に要注目!
このように、一連のコロナ禍の中で、音楽活動のあり方が変わり、これまで以上に「自宅での音楽配信」が音楽に取り組む者にとって身近な存在となりました。
こうした状況に対応するために、配信系のオーディオインターフェイスがマストアイテムになってきますが、現状、これらの商品は、品薄状態です。
自らの音楽を、より素敵なクオリティで多くの人に届けるためには、こうした機材は必要不可欠。品薄状態がもどかしいですが、やがて供給は正常化するようですので、しっかり検討を重ねながら、ご自身に合うオーディオインターフェイスをゲットし、配信活動が一層華やかになることを、心から願っています。
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