ギタリスト・ベーシストなら、初心者から上級者までがお世話になっているのが、BOSSのコンパクトエフェクター。
一目見ただけでそれと分かる、特徴的で頑丈な筐体と、数多く揃えると華やかになるそのカラーリングは、ギタリスト・ベーシストの琴線に触れる何かがあります。
しかし、そんなBOSSのコンパクトエフェクターも、気がつけば廃盤品も含めて非常に種類が多くなり、どれを選べば良いか、機種ごとに何が違うかが、きちんと調べないと分からないようになりました。
本日は、そんなBOSSコンパクトエフェクターの中から、歪み系に特化して、オススメの機種を10台、ご紹介させていただこうと思います!
なお、今回、BOSSコンパクトエフェクターを、スタンダードなエフェクター(標準機)と、上位グレードとして別途位置づけられている「Xシリーズ・技クラフト」(上位機)の大きく2区分に分けて、それぞれから5種類ずつ、選ぶことにいたします。
- BOSSの歪み系コンパクトエフェクターのおすすめを知りたい
- Xシリーズや技クラフトシリーズの主な特徴を知りたい
- BOSSの歪み系コンパクトエフェクターを比較したい
- 「BOSSコンで1台だけ選ぶならコレ!」を教えてほしい
もくじ
スタンダードなエフェクター(標準機)編
ということで、まずはスタンダードなエフェクターから。おなじみの定番機種から、独自のアイデアが盛り込まれた最新機種まで、さまざまな種類があります。
それでは早速、ご紹介していきましょう!
BOSSのオーバードライブといればこれ!SD-1
BOSSの歪み系エフェクターの礎を作った伝説的なオーバードライブ、OD-1。

そのOD-1の伝統的な流れを汲む正統後継機種が、このSD-1です。
OD-1と同様の、非対称クリッピング回路を継承し、OD-1と同様のサウンドを指向しつつ、そこにトーンつまみを追加し、より幅広い音色を作り出せるように進化しました。
オーバードライブの中でも特にドライブ感は控えめなので、これ単体で使ったときに良さが活きるのはポップ系のバンドあたりかなあ…と思いますが、一方で、アンプでしっかり歪みを作らせるギタリストさんにとっては、たとえば歪みの隠し味的にこれを潜ませておくと、アンプの歪みにもう一段上の色気が上積みされるなど、さまざまな場面で活躍できる1台です。
価格も安いですし、ギタリストなら1台持っていて損はしないペダルですね。

ブルースドライバーとAngry Charlieのコラボ!JB-2
このBOSS JB-2は、なんとJHSとコラボして作られたペダル。そして、その内容が、「BD-2とAngry Charlieを1台のペダルの中に詰め込んだ」というもの。2017年にリリースされた当時、かなりの衝撃をもって迎えられた一品です。
「このコンパクトな筐体に2つのエフェクターって、どうやって実現しているの?」と思わされるのですが、そこはさすがに、さまざまなエフェクターをこの筐体に詰め込んできたBOSS、使い勝手に抜かりはありません。
このエフェクターは、一番右の「MODE」つまみで、JB-2とAngry Charlieのサウンドを切り替えたり、あるいは直列・並列につなぐことでブレンドさせたサウンドを作り出したりすることができるようになるのです。
そして、JB-2とAngry Charlieそれぞれのサウンドにおける音作りは、2軸つまみの上段・下段でそれぞれ個別に調整ができてしまいます。
これらのサウンドを単体でしっかり音作りして使うだけでも非常に心地よいのに、これら両者をミックスさせて使うことができる…しかもそれを、コンパクトエフェクターのこの筐体で、というのですから、BOSSのアイデアには恐れ入ります。

より深いオーバードライブを求めて…OD-3
名前だけ聞くと「OD-1の後継」に思えてしまいそうになりますが、この流れとは少し異なる位置にいるのが、このOD-3。
非対称クリッピング回路でドライブサウンドを作り出していたOD-1やSD-1と異なり、このOD-3で採用されているのは、2段階の増幅回路とダイオード・クリッパー回路を組み合わせた、BOSS独自のデュアル・ステージ・オーバードライブ・サーキット。
これにより、OD-1やSD-1より深い歪みを作り出すことができるようになっており、ポップス系のバンドでは、かなり存在感のあるギターサウンドを奏でることが可能です。
型番やペダルの愛称から、伝統的なオーバードライブを想起してしまいますが、このOD-3、BOSSの歪みペダルの中では割と後発の部類に属する1台。SD-1ほどの知名度はなく、それゆえに影に隠れ気味な1台ではありますが、実はなかなか面白いオーバードライブですよ。

意外と幅広いサウンドが魅力…MT-2
BOSSのラインナップの中でも、歪みの深さはトップクラスなのが、このMT-2、通称「メタルゾーン」。
その名のとおり、メタル系のギターサウンドにも十分対応できる、ある意味において凶悪なまでに歪むドライブ感が最大の武器ではあるのですが…それ以上にこのMT-2が魅力的なのは、パライコを活用することで、思いの外、さまざまなドライブサウンドを作り出せるところ。
ドンシャリな設定を作れば、ゴリゴリのメタルサウンドになるのですが、一方で歪みを控えめにしつつ中域をしっかりと持ち上げてやると、アメリカン・ハードロックのような明るくて心地よいギターサウンドを鳴らすことも可能。
その名称と代表的なサウンドで誤解されがちですが、普通のディストーションとしても使っていける懐の広さが、実はこのMT-2はあったりするんです。

アンプライクな歪みが欲しいあなたへ…ST-2
ここまでご紹介してきたペダルは、どちらかというと、「歪みエフェクター的な歪み方」をするようなものが多かったと思いますが、このST-2は、BOSSの歪み系エフェクターとしては珍しい、アンプライクな歪み方を指向した1台です。
黒いルックスに、金色のコントロール部…ルックス的にもサウンド的にも、まさにマーシャルのギターアンプがモチーフになっています。
ドライブサウンドの作り方にも特徴があって、一番右の「SOUND」つまみを動かすことで、ヴィンテージ系のマーシャルサウンドからモダンなマーシャルサウンドまでを無段階に行き来するような仕組みです。
あまり使っている人はいないようですが、良い意味でBOSSらしくなく、個人的にはとっても気に入っている1台です。

Xシリーズ・Waza Craft(技クラフト)編
ここまでは、BOSSのスタンダードなエフェクターを見てきましたが、ここからは少しグレードが上となる、「Xシリーズ」と「Waza Craft(技クラフト)」について見ていこうと思います。
これまでのデジタルサウンドから決別し、デジタルならではの新しいギターサウンドに挑戦するBOSSの新技術、MDPを採用したXシリーズ。
そして、これまでBOSSが培ってきたアナログエフェクターを、改めて見つめ直し、セルフモディファイを施してきた、Waza Craft(技クラフト)シリーズ。
アプローチこそ異なりますが、どちらも、BOSSのエフェクターにかける本気度が見えてくるシリーズです。
上質なドライブ感と幅広いサウンドが魅力!OD-1X
まずは、Xシリーズから、OD-1Xです。
名称こそ、あの伝統のOD-1を継承していますが、目指すサウンドは、OD-1のサウンドをブラッシュアップしたというよりは、BOSSの最新技術を総動員し、理想のオーバードライブペダルを作った…という言い方の方が、良いかもしれません。
まず、ドライブゼロの状態のサウンドからして、非常に色気があって、心地よい。ここからドライブを足していくと、ナチュラルなクランチ~オーバードライブくらいの歪みとなっていき、さらにフルアップにすると、さながらディストーションのような激しいサウンドまでもをカバーしていきます。
そして、これだけ強く歪ませても、コード感を失うことがないのが、このOD-1Xのすごいところ。
さらに、LOWとHIGHの2つだけのイコライザーですが、これの効き方もまた抜群。とりわけ、両方をフルアップするという極端な設定を施してもサウンドが破綻しない…というのは特筆すべき点です。
下記ブログ記事でご紹介している古川昌義さんの試奏動画で、絶品のギターサウンドが聴けます。ぜひ、合わせてご覧ください。

きめ細かい、上質なディストーション…DS-1X
前述のOD-1Xは、デジタル技術を総動員して理想のオーバードライブを作り出しに来ていましたが、こちらDS-1Xは、それをディストーションで狙いにきています。
こちらも、ロングセラーの定番ペダル・DS-1の名前を継承しているように見えますが、そのサウンドはDS-1とは異なって、非常にきめ細かく繊細。ディストーションサウンドというものへの向き合い方が、全く違う印象です。
そして、そのサウンドは、ゲイン(「DIST」つまみ)を上げればハードロック・メタルまで対応できるのはもちろんのこと、ゲインを下げたときの軽い歪みもまた格別。
そして、このギター、ディストーションでありながら、徹底したローノイズで、そしてコードの分離感を失わずに残していると言う点において、非常に画期的です。デジタル技術をフル活用しているからこその芸当ですね。
こちらも、古川昌義さんの試奏動画が非常に分かりやすいので、ぜひ下記レビュー記事からご覧いただければと思います。

ブルースドライバーに、さらなる色気を…BD-2W
そして、ここからは、BOSSがこれまで培ってきたアナログ技術をフル活用して、名作エフェクターをセルフモディファイした、Waza Craft(技クラフト)シリーズです。まずはBD-2Wから。
こちらは、あのBD-2、ブルースドライバーを技クラフトシリーズの技術で大幅にパワーアップさせたモデルになります。
技クラフトシリーズは、「S/Cスイッチ」で2つのモードを切り替えて使うというのが定番になっています。このBD-2Wの場合、S(Standard)モードでは、BD-2そのもののサウンドをリファインする形で作りつつ、C(Custom)モードでは、方向性はそのままに中域を前面に押し出して、より艶のあるサウンドを生み出してきています。
BD-2の特徴である、少しダークなドライブ感、歪みの振れ幅の広さはそのままに、よりサウンドを洗練させてきたこのBD-2W。非常に使っていて気持ちいいエフェクターなんです。
