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楽器

バスウッドという木材…アルダーの代替材でしかないのかな?

バスウッド[basswood]。ギターやベースに用いられる木材の1つです。

しかし、どうも初心者向けギターに使われていることが多いことから、中〜上級者の方がこれを見ると、少しガッカリしてしまうことが多いようにも思います。

そして、一般には「クセのないフラットな音」という評価で知られている木材のように思いますが、そこについても様々な意見があるように思います。

今回、そんなバスウッドについて、少し掘り下げて考えてみることにしました。

この記事はこんな人にオススメ
  1. そもそもバスウッドとは、どんな木材なのか何か知りたい
  2. バスウッドとアルダーやアッシュと比較したときの評価を知りたい
  3. バスウッドのギターやベースについて、評価を聞きたい
  4. バスウッドはアルダーの代替材になり得るのか考えたい
  5. どうすればバスウッドの評価が上がるのか議論したい

そもそもバスウッドとは

バスウッドとは、木材の一種。北米大陸のカナダ、アメリカ合衆国の他、ヨーロッパの広い範囲、東アジアなどに生息しており、非常に入手しやすい部類に属します。

木材全体で見たときの強度としては標準で、木目にもこれといった特徴はありませんが、その特徴のなさが逆に特徴になっており、ギターやベースといった楽器のほか、一般的な家具などにも幅広く使われています。

バスウッドの特徴は?

バスウッドは、ギターで使用されるより柔らかくて軽い木材の 1 つです。バスウッドボディのギターは、中域がややクセのあるバランスの取れたサウンドになる傾向があります。バスウッドギターは低域がやや弱くなりがちで、あまりいい音ではありません。バスウッドはアルダーに似た特徴を持っているため、代替木材として使用されることもあります。

ギターやベースの素材としてみると、アルダーやアッシュといった定番の木材と比較すれば相対的に軽くて柔らかく、手にした時には扱いやすさを感じる一方で、その柔らかさ故に加工には気を使うとのこと。

また、木目が地味なため、これを活かしたルックスを生み出すことは難しいところ。とはいえ、そこは塗装で隠してしまえばこれといった問題にはなりません。

また、音響特性的には、巷では「フラットで癖のない音」と言われていますが、実際にはその軽さ、そして柔らかさゆえに、どちらかというと低音が削られ、悪くいうと締まりのない音、良く言うと抜けて来やすい音、というようなサウンドになる印象です。

バスウッドの用途は?

彫刻やモールディング材材として最適です。その他の用途としては、家具、室内装飾、楽器などがあります。注目すべき用途の1つは、ベネチアンブラインドです。

ギターにおけるバスウッドの評価VSアルダー比較

さて、そんなバスウッドを楽器に用いたときの評価について、少し掘り下げてみます。

まずはギターから。

先述のように、バスウッドという木材は、低域が削られ、比較的抜けの良い音になってきます。ですので、重みがあって、低域と高域を強調した、いわゆるドンシャリに仕上がるアッシュではなく、中域を活かしたサウンドを得意とするアルダーの方が相対的にサウンド特性が酷似しており、代替として用いられることが多いです。

ただし、アルダーと比べると、やはりサウンドにはどこか腰高感を覚えてしまうのは仕方がないところ。

これを個性として捉える手もありますが、もしそこをウィークポイントとして克服しようとするのであれば、ロック式トレモロを搭載するなどして、楽器全体に重みを出せば、サウンドを引き締めることが可能になります。

ベースにおけるバスウッドの評価

そして、バスウッドをベースに用いたときの評価はどうか。

バスウッドは、これまでから述べてきたように、他の木材に比べると低域に弱みを抱える性質がありますが、それゆえ、率直に申し上げて、ベースには不適な木材であるとの印象は拭えません。

バスウッドの性質である腰高なサウンド感は、ギターであればまだ使い道がありますが、やはり低音をしっかりと支えるベースという楽器においては、やはり物足りなさを感じてしまうのが、正直なところ。

また、バスウッドの弱点を克服する手法として用いる、ロック式トレモロの装着なども、ベースにおいては非現実的。

ギターと比べると、相対的に「素材で勝負する」という要素が強いベース。そこに、バスウッドという、あまりベースに適さない木材を用いてしまうと、バスウッドの弱点ばかりが際立ってしまうように感じます。

かとうたかこ
かとうたかこ
なお、そういった中にあって、フェンダーのハマ・オカモトモデル2機種においては、バスウッドの腰高さをうまく活かし、初心者向けの面白いベースとしてうまく仕上げてきている印象があります。
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バスウッドはアルダーの下位互換なのか?

と、このように、バスウッドの特性を見ていきました。

ここまでをお読みいただければ分かるように、バスウッドについては、アッシュやアルダーとはまた異なる音響特性を持っている楽器でありながら、その使われ方が「アルダーの下位互換」となってしまっている現実があります。

それゆえに、どうしてもアルダーと比べられてしまい、アルダーと比べて劣る箇所ばかりを並べられて、不当に低い評価になってしまっているのが実情です。

実際、バスウッドが用いられる楽器の代表例といえば、日本製フェンダーのTraditionalシリーズだったり、ヒストリーのエントリーモデルだったりと、率直に言えば

本当はアルダーで作りたいけど、コストカットしないといけないので、やむを得ずバスウッドを使っている

ようにしか見えないモデルが中心です。

かとうたかこ
かとうたかこ
もっとも、そのことと楽器の総合的な評価の話とは別問題ですけどね。これらの楽器も、モノとしては良いものばかりです。
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指板におけるパーフェローの評価に共通する論点

と、このような議論の展開、どこかでみたことがあるような気がします。

そう、指板におけるパーフェローの議論と、ここまでほぼ同じような話になってきてしまっているのです。

一般的には、ローズウッドの代替材として知られてしまい、それゆえにローズウッドと比較されてしまって、不当に低い評価に甘んじてしまっているパーフェロー。

パーフェローには、パーフェローなりの音響特性があり、それを活かした楽器が作られれば良いのに、各メーカーとも価格に着目して低価格楽器ばかりに用いてしまい、そのことが結果としてパーフェローという木材の評価を不当に下げてしまっている…。

この「パーフェロー」を「バスウッド」に置き換えても、全く同じことが言えてしまうのです。

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【まとめ】マーケティング戦略のせいで低い評価に?

このように、今回バスウッドという木材について、その概要、そしてギター、ベースでの使われ方について見てきましたが、各楽器メーカーのマーケティング戦略の中で、「低価格楽器におけるアルダーの代替材」という用い方をしてしまったことが、バスウッドという木材の評価を下げてしまっているように感じます。

バスウッドの「低域の弱さ」は、見方を変えれば「抜けの良さ」につながるため、それを活かした楽器を作ることができそうですが、現状は多くの場合、アルダーの下位互換というような使われ方にしかなっていないがゆえに、「アルダーと比較した場合のウィークポイント」ばかりを並べられてしまっているのが現状。

主力商品であるアルダーを使用した楽器の価値を高める上において、このように「相対的に下位」のものの存在は、マーケティング戦略的には意味があるのでしょうが、そのことによって、バスウッドという木材が不当に低く評価されてしまうのも、何とももったいない話です。

バスウッドという木材に、単なる「アルダーの下位互換」に止まらない魅力を与えることは、初心者の方が最初に買った楽器を長く愛していく上でも、重要なことだと思います。

アッシュやアルダーではない、バスウッドという木材が楽器に与える魅力。これを作りだし、発信し、そしてそれを前向きな理由で採用する楽器が増えることで、バスウッドという木材の評価が上がり、そのことがギター・ベース全体の魅力を底上げしていくんじゃないかな…私は、そう思っています。

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