本日は、ローランドのギターアンプ…と言って良いかどうか分かりませんが、Cube Street EXについて、ご紹介しようと思います。
- ギターアンプとして使えるPA機器を探している
- Cube Streetよりも高出力のモデルが欲しい
- Cube Street EXをどう評価するべきかの視点が知りたい
もくじ
Cube Streetの上位機種…?
このCube Street EX、ぱっと見た感じだと、これに先だって発売された「Cube Street」の上位機種、といった印象を受けます。
この「Cube Street EX」のコンセプトが、まさに「Cube Streetのハイパワーモデル」ということになっておりますので、そういった理解になるのは、ごくごく自然なことかと思います。
具体的には、
- 最大50ワットの出力(Cube Streetは5ワット)
- 8インチスピーカー×2、ツイーター×2(Cube Streetは6.5インチ×2のみ)
- 4入力+ステレオミニプラグ入力(Cube Streetは2入力+ステレオミニプラグ)
- これだけの機能を単3電池8本で実現(Cube Streetは単3電池6本)
と、確かにCube Streetをそのまま大きくしたようなスペックにも見えます。
でも、単純にそれだけとは言えないのが、このCube Street EXの難しいところです。
ギターアンプ機能は簡略化
さて、このCube Street EX、当然にCubeシリーズの一員ですので、ギタリストの方は、ギターアンプとしての機能がどうなのか、気になるところかと思います。
でも、この点、ちょっと注意が必要です。
確かにギターアンプのモデリングがいくつか搭載されているのですが…その種類は、
- A-Guitar
- Acoustic Sim
- Clean
- Clunch
- Lead
- Mic
の6種類だけ。しかも、特に何かのギターアンプのモデリングというわけでもなく、きわめてシンプルな形になっています。
それだけならまだいいのですが…おそらく、これは致命的ではないかと思われるところ。
なんと、このCube Street EX、「ゲイン」に相当するつまみがないのです。従って、歪みのコントロールは、アンプではできないということになってしまいます。この点、一般的なCubeシリーズとは大きく違うところです。
もっとも、ライブでこうしたアンプを使う場合、おそらくアンプでギターサウンドを作り込んでくることは、実はあまりなくて、足下のエフェクターで歪みを作ってくる方が多いと想定されます。
ですので、「Cleanさえしっかりしていれば、それで良いんだ」という割り切りも、考え方としては大いにアリではないかと思います。もちろん、Cleanについては、同じRolandのJC-120に通じるサウンドカラーを有していますので、エフェクターで音作りをする人にとっては、非常に扱いやすいはずです。
アンプというより、多機能・多目的なPA機器としての活用を
ここまで見たように、Cube Street EXについては、ギターアンプという評価軸に立つ限りにおいて、無印のCube Streetを含む各種Cubeシリーズに劣るのでは…という意見が出てきそうなところです。
でも、このCube Street EXについては、「ギターアンプ」として評価してはいけないのだと思います。
まず、これだけの出力を有しながら単3電池で駆動するアンプは、他になかなかありません。電源が取れない環境におけるPA機器としては、大変心強い限りです。
また、各種の入出力端子が非常に充実していますので、単なる弾き語り用PAのみならず、たとえばモニタースピーカーとしての活用や、縦向きにして観客席向けスピーカーとして使うこともできてしまいます。
そう、このCube Street EX、ギターアンプというより、小規模多機能PA機器なんです。その視点で見ると、非常に扱いやすく、そして優秀な機器ということになります。
そして、この評価軸に立つと、機能が限定されているとはギターアンプがついていることが、逆に強力な強みになってきます。他のPA機器では、ギターアンプとしての使用まで想定されていることは、まずありませんからね。
価格は5万円程度…アンプとしては高いが、PA機器としてみれば安い
さて、そんなCube Street EXですが、価格は概ね5万円程度。
Cube Streetが3万円前後であることを考えると、随分と高く感じるかもしれませんが、これまで述べてきたように、このEXは、普通のギターアンプと比較すべきものではなく、むしろ簡易PA機器と比較すべきもの。
同じくらいのスペックのPA機器は、おおむね7~10万円くらいすることが多いので、この比較軸に立てば、むしろお買い得な部類に属することが分かります。
Cubeシリーズとして出てきてしまったので、誤解を受けがちな商品ですが、PA機器としての実力は確かで、実はさまざまな野外音楽イベントで活用されている、とってもスグレモノな一品です。
野外での音楽イベントに携わっている方、ぜひぜひ、導入をご検討されてはいかがでしょうか。
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