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バンド・SSW

SSW活動の「2つのメリット&4つのデメリット」…飽和状態の現状、限界、そして可能性。

当ブログの筆者も、仕事や自分自身の活動の合間に、さまざまなアマチュア~インディーズミュージシャンの方のライブを拝見しています。

そうした中で、1つ、気づいたことがあります。

最近のライブハウスって、ソロ活動のSSWさんが、あまりにも多すぎるんじゃないか?

今回のブログでは、これらについて考察してみようと思います。

なお、今回の投稿で論じる内容は、あくまで一般論としてのSSWの現状と課題を考察するものであり、特定のSSWさんの活動等を念頭に置いているものでもなければ、現在活動中のSSWさんに対する批判的論評という意図を持つものでもない点につきまして、あらかじめお含み置きいただければと思います。

この記事はこんな人にオススメ
  1. 最近、シンガーソングライターが多すぎると思っている
  2. シンガーソングライターの現状は厳しいのではないかと思っている
  3. SSW活動のメリットとデメリットを整理したい
  4. SSWおじさんへの対応はやはり活動のデメリットなのか確認したい
  5. SSWではない形での音楽活動へ転換したい
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飽和状態にあるソロSSW

とにかく、最近、ライブハウスを回っていると、圧倒的に多いのが、ソロのシンガーソングライター、SSWさんのライブ

主にアコースティックギターやピアノを使って、オリジナル楽曲の弾き語りをする方が多いですね。男性・女性を問わず、非常に多くの方が、このスタイルで活動をしています。

なぜ、このSSWさんが増えてしまっているのでしょうか。

こういう議論をするときは、メリット・デメリットの整理が非常に重要です。まずは、このあたりを整理してみようと思います。

SSWのメリット

それではまず、ミュージシャンの方が、SSWとして活動するメリットについて考えます。

【メリット1】活動方針を自分の自由に決められる

まず、これがなんといっても非常に大きいと思うのですが、ソロ活動をしているSSWさんは、自分の活動方針、音楽スタイルについて、自分の好きなように、思うとおりに決めることができます

これがバンド活動だと、どうしても他のメンバーの意向を汲み取らないといけない局面は生じてきますし、それらがうまくいかなくなると「音楽性の違い」を理由に解散して、音楽活動そのものが止まってしまったりと、どうしてもロスが生じてしまいます。

特にバンド経験者にとっては、この「自分のやりたいように音楽が出来る」というのは、相当強力なメリットとして感じられるのではないでしょうか。

【メリット2】バンドメンバーとの日程調整が不要

これも前項と関連する項目かもしれませんが、ソロ活動は当然、自分一人で動いていますので、練習にしてもライブにしても、バンドメンバーとの日程調整が不要です。

バンドで動いていると、どうしてもこの「日程調整」が出てきてしまい、自分の動きたいときに動けなかったり、あるいは逆に自分の都合が悪い時期に動かないと行けない局面が出てきてしまったりと、非常にストレスを感じてしまいます。

細かい論点かもしれませんが、これもバンド経験者にとっては、非常に大きなメリットです。

自分一人で動ける自由さ…これは、何物にも代えがたいものがあるといって良いでしょう。

SSWのデメリット

そんなソロ活動のSSW。一見すると、すごく自由に活動できるメリットばかりが目につきますが、個人的にはデメリットもたくさんあると感じます。

【デメリット1】あまりにもSSWが増えすぎている

まずはなんといっても、あまりにもSSWが増えすぎてしまっていること。

これだけSSWが増えてしまっていると、はっきり言って周りはライバルだらけという構図になり、自分がその中で存在感を発揮することは非常に困難です。

特に、プロへの道を視野に入れている方にとって、ライバルの多さは致命的です。

ライブ後の活動報告などにおいて、「仲間が多くて充実感を感じる」などという、きれい事を言っている場合では本来ないはずなのですが、そのあたりの危機感を、SSWさんが本音でどう思っているかについては、なかなかSNSなどの建前の世界では見えてきにくいところです。

【デメリット2】楽曲が単調になる

アコースティックギターを使うにせよ、ピアノで行くにせよ、ソロでの弾き語りスタイルは、どうしても楽曲が単調になりがちです。

この点、バンドサウンドであれば、エレキギター、ベース、ドラムそれぞれが演奏に一工夫をこらすことによって、楽曲にかなりの広がりを見せることができますが、SSWの弾き語りスタイルだと、そこはどうしても限界があります。

とりわけ、バンドサウンドの場合、ギタリストがクリーンとディストーションを使い分けるだけで、かなり楽曲に変化を持たせることができます。エレキギターがそのほかのエフェクターを駆使したり、ベーシストやドラマーのリズム隊がビートを変化させたりすることも合わせれば、楽曲の可能性は無限大になると言っても良いでしょう。

もちろん、さまざまな工夫をこらしているSSWさんがたくさんいらっしゃるのは重々承知しているのですが、それでもバンドサウンドが有するサウンドバリエーションの豊富さにはかなわない…。厳しいですが、これが現実です。

なお、出場者公募型の音楽イベントの場合、この手の弾き語りミュージシャンが多数集まってしまいますが、これらをそのまま並べてしまうと、イベント全体が単調になってしまうことから、他のジャンルと比べて選考が厳しくなってしまうというのは、割とよくある話です。

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前述の「SSW多すぎる問題」とも関連する話ではありますが、SSW業界の厳しさを著すエピソードの1つかもしれません。

【デメリット3】音楽活動に付随する事務処理が大変

これは前の2つの項目に比べれば些末な論点かもしれませんが、音楽活動をやっていると、ライブや練習以外にも、やらないといけないことがたくさんあります。

SNSでのPRや活動報告、出場ライブの検討・調整、活動関係経費の金銭管理などなど…。

バンドであれば、これらを分担しながら処理することが出来ますが、ソロのSSWは、あらゆる事務処理を、自分一人でこなさないといけません

これらの事務は、社会人経験者であれば、ある程度のノウハウがあり、上手にこなせる可能性が高いでしょう。

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一方で、社会人未経験の方であれば苦労も多いでしょうし、それらの事務処理のクオリティも高いものとは言えない可能性があります。

中小の芸能事務所もあるが…入らない方がマシ?

なお、ソロSSWさんの中には、芸能事務所等に属して、これらを事務所マターにしている方もいらっしゃいますが、残念ながら、一般論として、中小芸能事務所の事務処理能力は、決して高いとは言えません

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少なくとも、これだけコンプライアンスが厳しく問われる時代に、野放しで無許可のまま路上ライブを実行させているような芸能事務所は、もはや属していても何のメリットもないどころか、むしろ収益を中抜きされるデメリットしかありません

本来であれば、適法になるように行政当局と調整し、それがかなわなかった場合は、路上ライブをストップさせるのが、あるべき芸能事務所の役割です。

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小さな論点かもしれませんが、大事な論点でもあります。

【デメリット4】女性の場合、SSWおじさんへの対応を迫られる

これは女性SSWさん特有の課題になろうかと思いますが、昨年あたりから言語化され、話題になっている「SSWおじさん」への対応を迫られるというのも、大きな課題です。

SSWおじさんについては、既に別記事で論評を行っていますが、次のような問題点があることが一般に知られています。

  • 音楽を聴きに来ているというより、女性SSWと話に来ている
  • なぜか上から目線で絡んでくることが多く、SSWさんが不快である
  • SSWおじさんがついてしまうと、他の一般客がSSWさんに近寄り難くなる
  • 一方で、まめにライブに来てくれる客でもあるために、邪険に扱えない

音楽を演奏するSSWさん、そして音楽を聴きに来ている他のお客さまにとっても悩ましい存在、それがSSWおじさんです。

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このSSWおじさん、バンド活動をやっている場合は必ずしも大きな問題になりませんが、女性SSWさんにとっては、本当に深刻な問題です。

ある意味、このSSWおじさんは、現在置かれているSSW業界の現状と課題についての象徴的存在だと言って良いでしょう。

かとうたかこ
かとうたかこ
それくらい、個人的には深刻な課題であると考えています。

SSWの限界

このように、SSWさんを取り巻く環境は、現状、非常に厳しいものであると考えられます。

気軽に、そして自由に活動できるという大きなメリットを持つ一方で、本格的な音楽活動に踏み込むフェーズにおいては、課題が多すぎると言ってよいでしょう。

個人の趣味として活動を楽しむ範囲においては、これらの課題も些末な問題だと割り切れるのですが、難しいのは、プロ指向で活動しているソロ活動のSSWさん。

もちろん、その課題を承知の上で、夢を追うのもまた一つの人生のあり方だとは思います。

ただ、もしこれらの課題を認知しないまま、あるいは見て見ぬ振りをして、遮二無二ライブ活動に取り組んでいるというのであれば、それは「一生懸命活動している自分に酔う」以外の効用が得られないのではないかと考えます。

たとえて言うなら、サッカーの試合において、格上チームと対戦する場合、何も考えずに攻撃的な布陣でシュートを打ちまくるような作戦で言っても、すぐにこちらのスキをつけこまれて反撃されるのがオチ。格上のチームと対戦するのであれば、それ相応の現状分析と対策が必要になるはずです。

SSWが存在感を発揮できる新たな可能性

ここまで、ソロ活動を行うSSWさんにとって、かなり厳しい論調で文章を記述してきました。

ただ、個々のSSWさんの活動や楽曲を拝見していると、それらは非常に素晴らしいものばかりでして、それらがSSWの多さ故に埋もれてしまい、「One of them」に終わって、多くの人に知られずに消えていってしまうのは、私は大変もったいないと思っています。

どうすれば、これらの楽曲が、「その他大勢」にならず、一つの楽曲として親しまれていくのでしょうか。

SSWのバンド化

まず、私はある程度活動実績のあるSSWさんについては、ぜひバンド化を検討してみていただければと思っています。

もちろんそれは、「SSWさんをメンバーに含む新たなバンドを結成する」という、「狭義のバンド化」だけでなく、サポートメンバーを含めてバンドサウンドでライブを行うという「広義のバンド化」も含みます。

バンドサウンドであれば、サウンドに厚み・広がりを持たせることができる上に、他のメンバーがいることによってSSWおじさんが近寄ってきづらくなるという副次的効果も得られます。

日程や音楽性など、メンバー間での調整ごとが増えてしまうデメリットはありますが、もしあなたが真に優れたSSWさんであれば、きっとあなたを中心にそのバンドが回り始めるはずです。

これはまた別記事で論じようと思いますが、最近、ギタリストやベーシスト、ドラマーは、バンドで活躍する機会が少なく、ネットでの「弾いてみた」に活路を見出している現状があります。そうした中にあって、優れたSSWさんと共演する機会があるのは、他の楽器隊にとっても大変ありがたい話。

そう、「SSWのバンド化」は、SSWさんと他のプレイヤーさんの利害が共通する取組になるのです。

なお、フルメンバーのバンド化が難しい場合、数名のユニットで活動するというのも十分に効果的だと思います。

バンド活動のスピンオフとしてのSSW活動

そして、これは先ほどとは逆のパターンだと思うのですが、既にバンドとして一定の活動を行っている場合、そのボーカルさんやギタリストさんが、スピンオフ的にSSWになってソロ活動を行う、という事例も、非常に興味深いものであります。

バンドではできないような実験的な取組をソロ活動でやってみたり、メンバー全体の日程調整がかみ合わない間、それを埋めるようにソロ活動を行ってみたり…と、さまざまな活動の仕方があると思います。

このような活動は、既にバンド活動という基盤を持っているがゆえに、活動の初期の頃から安定感がある上に、「バンド活動では見られない意外な一面」を見ることが出来ることから、バンド仲間やそのお客さまを中心に一定の集客を見込むことができます。また、演者にとっては、その活動の経験をバンドに持ち帰り、フィードバックすることで、バンド全体のさらなるレベルアップが図られるなど、良いこと尽くめです。

あくまで既存のバンド活動に主軸が置かれている点が、他のSSW活動とは大きく異なる点ではありますが、このあたり、社会人の中で議論されている「副業」の議論に通じると感じます。

いずれにせよ、こちらも意義深い取組であると言えるでしょう。

まとめ…厳しい現状、だからこそ理知的に、正しく前向きな活動を

ここまで見てきたように、ソロ活動を行うSSWさんの現状は、率直に言うと、厳しいものであると感じます。

気軽に活動できるメリットがあるとはいえ、それゆえに、ここまでSSW市場が飽和してしまうと、もはやSSW活動で自らのプレゼンスを発揮していくことは非常に困難です。

個人の趣味ならいざ知らず、その先を見据えて人生を賭けていく人にとっては、まずはこの現状を、正しく理解しなければなりません

他方で、SSWさんの活動の素晴らしさは、私もよく分かっているつもりです。

だからこそ、そんなSSWさんが作り出す楽曲、奏でる世界観を、一人でも多くの人に知ってもらえるよう、現状を理知的に理解した上で、「ひたすら一人でライブを頑張る」のではなく、一工夫をこらした、前向きな活動に進んでいただければ、私にとって、これほど嬉しいことはありません。

なお、今回の記事は、現役SSWさんのみならず、これから音楽活動を始めようとする人に向けて、現状を理解する一助になればという意図も込めたつもりです。

皆さんの音楽活動が、これまで以上に実り多きものとなることを心から願って、本日は、この辺で筆を置こうと思います。

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