フェンダーのAmerican Vintage(アメリカン・ヴィンテージ)シリーズ、通称「アメヴィン」。
長きにわたって、フェンダーUSAの上位モデルとして高い人気と評価を得ていましたが、2018年に後継となる「American Original」シリーズが登場するとともに、その歴史に幕を下ろしたことになっています。
しかしながら、今なお、前モデルであるアメリカン・ヴィンテージの方を高く評価する声が強くあるのもまた事実。
なぜこのようなことになっているのでしょうか…少し考えてみました。
- 改めて、フェンダー・アメリカン・ヴィンテージの特徴を知りたい
- アメリカン・オリジナルと比較したアメヴィンのメリットを知りたい
- アメヴィンのコストパフォーマンスを改めて評価したい
- それ自体がヴィンテージ化するアメヴィンの現状を知りたい
もくじ
「ヴィンテージを新品の状態で完全に再現」というコンセプト
フェンダーのアメリカン・ヴィンテージシリーズをさかのぼると、そのルーツは1982年にまで立ち返ります。
その頃から既にヴィンテージとしての評価を受けていた1950〜1960年代のフェンダーのギター・ベースを「新品の状態で完全に再現」というコンセプトを持っているのが、このアメリカン・ヴィンテージ。
ところが、そのコンセプトにこだわりすぎたがゆえに、価格がどうしても割高になり、また自社内でカスタムショップのラインナップと競合してしまうようになったためか、現行モデルのAmerican Originalシリーズでは、ある程度そのこだわりを軽減するとともに、価格を若干引き下げる方向にモデルチェンジしました。
このAmerican Originalシリーズは、これはこれで、楽器として高い評価を受けており、私も大変に気に入っています。


アメヴィンが根強い人気を誇る理由
このように、一定の考え方をもって登場したAmerican Originalですが、それでもなお、American Vintageの方を支持する方が一定程度いらっしゃる理由…それは果たして、何なのでしょうか。
以下、少し考えてみます。
【理由1】カスタムショップ製に近いスペックのギターが相対的に安く買える
前述のように、旧のアメリカン・ヴィンテージシリーズは、ヴィンテージと呼ばれるフェンダーのギターを、自社のノウハウで完全に再現し、かつそれを新品で販売するというものでした。
今、このコンセプトのギターを手にしようとすると、どうしても超高額なフェンダー・カスタムショップ製のものしかなくなってしまい、なかなか気軽には手を出せなくなってしまっています。

この点、アメリカン・ヴィンテージシリーズであれば、高額であるとはいえ、それでもカスタムショップ製とくらべると新品でも10万円以上は安く買えますし、アメヴィンでも十分すぎるくらい楽器としてのクオリティは高いもの。
そう、アメヴィンは、本格的なヴィンテージ指向のギターを探す上で、相対的にお買い得なギターだったのです。
【理由2】現行のAmerican Originalシリーズが中途半端に見える
前述の「理由1」とも若干関係するのですが、このようにヴィンテージ指向のギターを探す上で、アメヴィンが相対的にコスパが高い…という話をしましたが、単純なコスパだけの話で言うと、現行のAmerican Originalシリーズは仕様を簡素化することで、アメヴィンからの値下げに成功した商品でもあります。
ところが、そのAmerican Originalシリーズは、ヴィンテージ指向の人にとっては、微妙に中途半端に見えるのも、また事実。
大きくは年代ごとのギター・ベースの再現を目指しつつも、プレイアビリティを高めるためにあえて指板Rを緩やかに設定したりするなどの工夫がなされているわけですが、これがヴィンテージ指向の人にとっては「何か違う…」と思われてしまうポイントになってしまっていたりするのです。
フェンダーのギターで究極にプレイアビリティを求めるのであれば、American Ultraへ行きますし、バランスの良さを求めるのであれば、American Professionalシリーズがありますし…。


American Originalシリーズは、ヴィンテージ指向を持ちつつもバランス感覚の良い楽器だと個人的には思うのですが、そのバランス感覚を求めたがゆえに、逆にヴィンテージ指向のユーザーには刺さらなかった…。
このあたり、非常に難しく、悩ましい議論です。




【理由3】アメヴィンが中古市場でお手頃価格になっている
そして、そんなアメヴィンなのですが、現行モデルはもうありませんので、中古で買い求めることになります。
で、その中古価格なのですが、年式や程度にもよりますが、おおむね15万円程度が相場になっています。
この価格、新品のAmerican Originalシリーズより10万円ほど安いですし、ましてや新品でAmerican Professionalシリーズを買うよりも安いほど。
何なら、日本製フェンダーの上位機種に、ほんの少し予算を足すだけで、このアメヴィンを中古で手に入れることができてしまうのです。
今はもう新品で手に入らないというアメヴィンの価値、そして新品の頃の価格を踏まえると、15万円前後の価格は、はっきりいって、かなりお手頃に感じます。
これもまた、今なおアメヴィンの評価を高めている要因かもしれません。
【理由4】アメヴィン自体がヴィンテージ化してきつつある
先ほど触れたように、アメヴィンの歴史を紐解くと、そのルーツを1982年にまでさかのぼることができます。
1982年というと、2021年から見たら39年前。ということで、そろそろ初期に製造されたアメヴィンそれ自体が、ヴィンテージ楽器の仲間入りをしてきているということもできます。
さすがに1950〜1960年代に製造された楽器を今から持つというのは、経年劣化的にも価格的にもかなり厳しいものがありますが、ヴィンテージ化したアメヴィンであれば、丁寧に扱われたものであればまだまだ現役で使っていけること間違いなし。
そして、比較的最近のアメヴィンであれば、それを大事に使っていくことで、自分の手の中でヴィンテージ化させていくことが可能になるわけなのです。

【まとめ】改めて見直されるアメヴィンの評価。
このように、フェンダーのAmerican Vintageシリーズについては、後継となるAmerican Originalシリーズが出たものの、コンセプトが微妙に異なることで、かえってその存在感を際立たせることとなりました。
アメヴィンが高く評価される理由を、今回4点、整理させていただきましたが、いずれもアメヴィンの魅力が改めて見直されたからこその論点だと思います。
現行のAmerican Originalシリーズも魅力的で使い勝手の良い商品ではありますが、旧のAmerican Vintageシリーズが醸し出す「より本格的なヴィンテージ指向」、今、改めて味わってみたいところですね。